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やさぐれ歯科医院

白い天使クリスチャン・ゼル博士を目指す歯科医の戯言

トンデモ インプラント

小宮山先生といえば本邦インプラントの先駆けで、こんなぺーぺーの自分でも知っているくらい有名ですが、2012年に歯界展望にインプラントについて連載していました。

歯界展望 2013年1月号

「インプラント療法の原点を訪ねて 術式に関連した要点:外科処置 その1」

   ブローネマルク・オッセオインテグレイション・センター 小宮山彌太郎 

もうあれくらいの立場になれば批判する人もいないでしょうが、端々に「何だこりゃ」な記載があり、よくこんな内容書けたな、というか実践しているな、というレベルなのでした。トンデモぶりは次の回が顕著ですが、この回も清潔原理主義者として色々と。ツッコミどころは多々ありますが、全部は無理なので・・・。

はじめに 

インプラントはいかに優れた組織親和性を備えた素材であっても、条件次第ではいつでも異物になりうる。

本文は太字になっているんで、よっぽど強調したかったのでしょう。

しかしですね、どんなに組織親和性が高かろうとも、分解されて消え去らない限りは異物です。異物になりうるではなく、もとより異物です。感染しようがしまいが最初から最後まで「異物」です。

 

某診療施設でビスホスホネート(BP)剤内服中の患者にインプラント埋入手術が施され,顎骨壊死に至った症例に関して,整形外科医からの相談を受けた.通常,インプラントに関連した手術は開放創にはならないことから,形成あるいは埋入に際しての細菌の迷入か過熱による骨壊死が契機となったのではないか,と推測している.

 閉鎖創の術後感染は、術中の細菌迷入か術操作が原因、との考えなのでしょうが、んなこたありません。後からでも菌は流れ着いてきます。たまたまそこにインプラントや血腫など何かしらの依代(よりしろ)があっただけです。

 

 衛生環境の確保

器具類の滅菌

「手術用器具が滅菌状態にあるべきことに異論をはさむ者はいないであろう.」

 はさみます。

インプラント手術だからといって全てが滅菌器具である必要性は全くありません。これは彼だけを責められません。開業医から口腔外科医まで、本当に多くの歯科医療従事者が誤解に誤解を重ねている事項なのです。口腔内手術において滅菌器具の必要性は前述の通りです。 

 

 

投薬に関して

これはツッコミも相当長くなるので割愛。

上顎前歯部への埋入症例では、綿棒につけた同剤(キシロカインゼリー5%)を 鼻腔底粘膜に貼付するが、粘膜を数分間その部位に保持する。形成に際して、バーの先端が鼻腔底の骨に近接した場合にも多少の効果は期待できる。

これホントに効くの?ていうか局麻をきちんと打てばいいだけじゃないの?どんな角度つけて埋入してるんですかね。

 

口唇および皮膚面の消毒

後述するような手術用滅菌粘着フィルムを用いる場合であっても,目の下から頬,口唇,オトガイから首にかけての皮膚面をクロルヘキシジングルコン酸塩0.2%水溶液あるいは塩化ベンザルコニウム0.025%水溶液を含ませた滅菌ガーゼで徹底的に払拭する.口髭をたくわえた患者,あるいは皮膚の弱さなどから粘着フィルムを貼付できない症例では,妥協して穴あき滅菌布を使用せざるをえない場合もあるが,その場合には時間をかけた,より丹念な清掃が求められる.

 口腔内処置前の口腔周囲の消毒は無意味です。したからといって感染率は下がりません。ま、やりたいなら無駄な一手間ですがお好きにどうぞです。なので「時間をかけた、より丹念な清掃」なんか求められません。

 

手術環境

手術室を完備しているにこしたことはないが,個人的にはインプラント手術に際しては一般的なチェアを用いてもかまわないと考えてきた.しかしながら,通常のチェア周囲には,キャビネット,スピットンをはじめ手術に不要な装置が存在する.これらを滅菌覆い布により,いかに隔離できるかが重要であろう.

隔離する必要性って何なんですかね。血しぶきが飛ぶのを嫌うなら未滅菌の覆いでもかけておけばよいだけです。

 

『通常の診療衣あるいは模型実習などで供給される不織布のディスポーザブルのガウンなどを使い,それも滅菌する必要はありません』と説明しているコースもあるということを耳にしたことがあるが,事実であるならば,わずかな出費と手間とを引き換えに,そこまで自らの仕事を貶めることはやめていただきたい.

 合理的・科学的なコースだと思います。無駄な出費と手間を強要する村の古老の言い伝え的な慣習とは決別しているのでしょう。立派な方です。どこのどなたでしょうか。そっちが気になります。

大体、いまだにインプラントなんぞで滅菌ガウンと滅菌グローブ付けろと主張する先生が崇められているとか、歯科は相変わらずアホだなと歯科業界が貶められてしまいますがな。

 

口唇および皮膚面の再度の清掃

ドレーピングに入る前に,先に診療室で皮膚面の消毒に用いたクロルヘキシジングルコン酸塩0%水溶液あるいは塩化ベンザルコニウム0.025%水溶液を含ませた滅菌ガーゼで,口唇ならびに周囲皮膚面の消毒を行う.

口唇周囲を再度消毒・・・二度塗りですか、入念ですな。

無駄な一手間ならぬ、無駄な二手間。

 

ドレーピング

 世界的に見ても、手術時のドレーピングは簡略化の一途をたどる。しかしながら、制菌処置に関してはやりすぎることはない。今日ではそのようなことに留意を払う術者はごく限られているであろうが、Brånemarkらは埋入手術に関して、患者の鼻腔からの呼気を非常に気にしていた。その結果あのようなドレーピングとなった。

これは前号で書かれているのですが、ドレープをターバン状に鼻まで覆うやり方です。

鼻からの呼気ねえ・・・羹に懲りて膾を吹くってやつです。

 

しかしながら、なぜここまで口腔との隔離に腐心するのか?経時的に口腔内の菌数は増加する。さらに、いかに丁寧に皮膚面を消毒したとしても、皮膚面の毛穴の深部からの菌を無視することはできない。皮膚面の常在菌は手術に際して為害性がないという説もあるが、それを遮断できるならばより好ましいであろう。

 典型的な清潔原理主義者、「やればやるだけ良い」のお手本のような先生ですね。

 

だから、あなたがいじってるのは口の中だって・・・。

 

無駄学 (新潮選書)

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